日本には特定の専門分野に集中せず患者を総合的に診ることに特化した獣医総合臨床認定医という資格があります。獣医総合臨床認定医をこれから目指したいといった獣医師の方もいると思います。
そこで今回は
「獣医総合臨床認定医を目指しているがやるべきことがわからない」
「獣医総合臨床認定医になりたいが、どんな病院に就職すればいいかわからない」
「JAHAと動物臨床医学会の獣医総合臨床認定医の違いは?」
といった疑問をもつ獣医師に向けて、獣医総合臨床認定医取得のための病院選びをお話しします。ぜひ最後までお読みいただき、就職先選びにお役立てください。
獣医総合臨床認定医とは
日本には2つの団体による獣医総合臨床認定医制度があります。2つの団体とは日本公益社団法人日本動物病院協会(以下JAHA)と動物臨床医学研究所です。
それぞれの団体の総合臨床医の考え方は以下の通りです。
JAHA
JAHA獣医認定医制度は、獣医学を通じて、ヒューマン・アニマル・ボンドの理念に基づき、人と動物の幸せに貢献することのできる、高度な専門知識、および広範な一般臨床知識を備えた家庭動物臨床獣医師の認定、および育成を目的としています。
JAHAには外科、内科、総合臨床の認定制度があります。その中でも獣医総合臨床認定医は、獣医療のスタンダードを理解しているジェネラリスト獣医師を認定するものです。
動物臨床医学会
動物臨床医学会の獣医総合臨床認定医制度は、獣医小動物臨床において一定水準以上の総合的診療能力を備えた獣医師を獣医総合臨床認定医として認定することにより、幅広い分野の臨床医を育成し、日本の臨床獣医学の発展・向上を図るとともに、人々がより高い水準の獣医療の恩恵を受けられる社会の実現を図ることにより、社会の福祉の向上に寄与することを目的としています。
両資格ともに、獣医療について幅広く高度な知識をもち、総合的に診断できる獣医師を認定することで、日本の獣医療の発展や社会に貢献することを目的としています。
獣医総合臨床認定医の受験資格および認定医試験
JAHA
受験資格はJAHA認定病院に所属しているか否かで異なります。
試験申込時点においてJAHA認定病院に所属している場合には
獣医師免許を保持していること
認定病院における通算3年以上の家庭動物臨床経験を有し、所属長の推薦があること。(受験者本人が院長の場合は推薦不要)
試験申込時点から過去3年以内に1回以上の学会発表等の実績があること。
を全て満たす必要があります。
JAHA認定病院に所属していない場合(一般受験)には
獣医師免許を保持していること。
通算4年以上の家庭動物臨床経験。
JAHA獣医総合臨床認定医の継続教育指定セミナーの受講。
獣医師免許取得後、試験申込時点までに「獣医総合臨床認定医 継続教育指定セミナー」を 20単位以上受講していること。
試験申込時点から過去3年以内に 1回以上の学会発表等の実績があること。
を全て満たす必要があります。
対象のセミナーと単位数は3時間で1単位として獣医認定医認定委員会において指定されます。
試験方法は2時間の筆記試験(択一式)になります。
動物臨床医学会
受験資格には
小動物臨床経験を5年間以上有する者。
申請時より過去5年間以上連続して学会の会員であり、会費を完納している者。
申請時より過去5年間以内に3回以上学会へ出席している者。
ポイント制度において合計50ポイント以上のポイントを取得している。
を全て満たす必要があります。
ポイント制度は認定医セミナーの受講、学会発表、司会・座長、論文掲載、そのほかの合同カンファレンスなどにおいてそれぞれポイントが加算されます。認定医セミナーでは、認定医委員会が定めた学会のセミナー等を受講し、各分野において2ポイント以上6ポイントまで、合計30ポイント以上のポイント取得が必須です。そのほかのポイントと合わせて合計で50ポイント必要となります。
試験は年に1回実施されます。
獣医総合臨床認定医を目指すための就職先選び
獣医総合臨床認定医になるためには
獣医療に対する幅広い知識や経験
日々の継続的な勉強
学会発表や論文発表
など越えるべきハードルがいくつかあります。これらのハードルを超えられるような病院選択が重要となります。獣医総合臨床認定医がいる病院やJAHA認定病院、診療件数が多く、難治症例に強い個人病院や総合病院で勤務する必要性があるでしょう。
病気を正しく診断したり、論文発表を行う上で指導者なしでは難しいです。
指導の体制が整っているか、自分がその病院で頑張れそうかしっかり考慮した方が良いですね。
またどちらの認定医を取得する場合でも、講座受講や学会参加が受験資格になっています。講座受講や学会参加のための休暇をもらえるかどうかも就職を決める際は確認しましょう。
メリット
獣医総合臨床認定医を取得するメリットには
特定の専門領域に偏ることなく、病気の犬や猫を俯瞰的に捉えることができる
難治症例で困っているご家族や犬や猫に対して貢献できる
転職する際に一定水準の獣医療の知識を備えていることのアピールになる
などが挙げられます。
獣医総合臨床認定医の資格取得に対して努力して勉強した分、困っている患者さんに貢献できることは、大きな達成感ややりがいにつながるはずです。
まとめ
獣医総合臨床認定医になるには獣医療の幅広くかつ高度な知識の習得が不可欠です。そのため、就職先選びがとても重要になります。当院では一般診療に対して最新の知見や技術を用い、病気の犬や猫に対し最善の医療を提供できるように努めています。そのため当院に就職されるみなさんにも、日頃から知識や技術指導を行い、獣医総合臨床認定医の資格取得を積極的にバックアップします。
資格取得に時間はかかりますが、当院で共に頑張りましょう。
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